食育を考える
  • 【『賢い子・伸びる子どもに』 食育を考える 第18回目】

     風邪やインフルエンザが気になる季節になりました。

     身体に免疫力をつけるためにも食事は大切ですが、
    食べ物に好き嫌いがあると栄養素の摂取に偏りが生じてしまいます。
    健康に育って欲しいと願い、毎日の献立の中に色々な食材を取り入れ、
    調理法を工夫しても、「むら食い」や「偏食する」子どもが多くみられます。

     平成17年度乳幼児栄養調査結果(厚生労働省)によると、子どもの食事で困っている事として、
    遊び食い45%、偏食する34%、むら食い29%が多いと回答されています(複数回答)。

     とくに偏食する子どもでは、野菜を毎日食べない子どもが約4割、
    果物では約6割を占めていると報告されています。
    折角、食事を用意しても食べなければ身体に栄養が吸収されません。

     野菜は、緑黄色野菜やその他の野菜のグループの中に多くの野菜があるので、
    嫌いな野菜の代わりに栄養効果の類似する野菜に置き換えれば栄養バランスが保てるでしょう。
    子どもの偏食は一過性の場合が多いので無理強いをせず、忍耐強く直していく方が良いでしょう。

     しかし、いつまでも嫌いな食材があると、
    集団生活での食事の場面で嫌いなものを残してしまうことになるので、
    集団になじめないや、自身喪失になるなどの弊害が出てしまうかもしれません。

     たとえば、生活のリズムを整える、家族そろって楽しく食事をする、
    行事食を積極的に取り入れる、子どもにも野菜つくりや調理の手伝いなどに参加してもらう、
    おやつの量や回数を再確認するなどの工夫をしてみると、
    少しずつでも規則正しい食事に近づけるかもしれません。

     出来る限り多くの食材、そしてその食材の持つ自然の味を生かし、
    家庭の味(おふくろの味)を子どもに覚えてもらい成長してもらいたいものです。



    <資料提供: 関西福祉科学大学 健康福祉学部 准教授 澤田崇子先生>

【『賢い子・伸びる子どもに』 子育て術 第13回目】

 二月に入り立春を迎えると、寒かった冬から春へのきざしを感じるようになります。

 新学期を迎える時期も近づき、子どもの発育に合わせた食べ方を育むことも大切になってきます。

 食べ物は、口の中に食べ物を入れて、歯でしっかり噛む(咀嚼そしゃく)、
そしてごっくんと飲み込む(嚥下えんげ)動作をして身体の中に取り入れられます。

 口の中でしっかり噛むと、「肥満を防ぐ・味覚の発達を促す・言葉の発音をはっきりさせる・
脳の働きを活発にする・歯の病気を防ぎ口臭を少なくする・がんを防ぐ・胃腸の働きを促進する・
全身の体力向上とストレス解消」という8大効用があるといわれています。

 例えば、卑弥呼の生きた弥生時代の人々が食べていた食事を復元すると、
一回の食事に3990回食べ物を噛んでいたという結果が報告されています。
現代人の食事は620回という結果で、噛む回数がとても少なくなっています。
これは食べ物が柔らかくなり、しっかり噛まなくても飲み込むことができるためです。
噛むことの大切さを伝えるために、日本咀嚼学会では先ほどの8大効用の頭文字を並べて
「ひみこの歯がいーぜ」という標語を紹介しています。

 しっかり噛むには、するめいか、たこ、いわしの丸干し、
フランスパンやごぼうなどたくさんの食べ物があります。
食事やおやつ時に、このような食べ物を意識して利用したり、食べ物を口に入れたら、
今までよりは5回多く噛んで、よく噛む習慣を身につけていきましょう。  



<資料提供: 関西福祉科学大学 健康福祉学部 准教授 澤田崇子先生>